その10:本番(前編)

その10、本番(前編)

本番前編

 

前日に約束した通り、その日私は、日勤が終わったあと渋谷駅に向かいました。

 

 

病院から2人で一緒に出ると、周囲に気づく人がいるかもしれないから渋谷集合にしよう!

 

 

と、F医師が提案してくれたのでした。

 

 

それから、私とF医師は、無事に駅で落ち合って、目的のタワーホテルに入りました。

 

 

その日入ったレストランは、ビュッフェスタイルのお店でした。

 

 

正直、それまでビュッフェといえば、「質より量!」というイメージで、全体的に安っぽい印象しか無かったのですが。

 

 

ここのビュッフェメニューは、見事にそのマイナスイメージをひっくり返してくれた!

 

 

王道だけど感動するくらい美味しいメイン料理、珍しい野菜をたくさん使ったカラフルなサラダ、かわいらしいデザート・・・☆

 

 

激務で疲れきっているはずなのに、気分は、めちゃくちゃハイに・・・(o> U <o)

 

 

F医師は、当直明けにはたいがいこうやってホテルでごはんを食べるそうです。

 

 

いやぁさすが医者のプライベートだなぁ・・・という感じ☆★☆

 

 

ナースもそこそこお給料もらってる方だけれど、さすがに週1でホテルディナーってのは気が引けますもん(・o・*)

 

 

食事が済んで、私がアップルフレーバーティー(たしかF医師はブラックコーヒー)を飲んでいると、

 

 

「このあと、時間ある?」

 

 

と、F医師がおもむろに聞いてきました。

 

 

この頃の私はもう、F医師に何を誘われたとしても驚きません。

 

 

それくらいの耐性は、私にもついていました。

 

 

私はにっこりと笑顔を作って

 

 

私:「当然ですよ。このまま家に帰ったって、録画したテレビ見て寝るだけなんですから。」

 

 

と。

 

 

つい、この間まで、F医師と目を合わせるのも恥ずかしかった自分。

 

 

F医師に話しかけられるたびに、いちいち動揺を隠すことに必死だった自分。

 

 

そんな自分は、もう過去のどこかに置いてきてしまっていたみたいでした。

 

 

私はF医師に誘われるままエレベーターに乗り込み、35階のフロアまで上がりました。

 

 

こちらに続きます!
>>その11、本番(後編)